青鷺火(あおさぎのひ)
夜中になると青白く光るという鳥の妖怪。
鳥のサギが長い年月を生きるといつしか羽が光るようになるそうで、他にも火の玉に変化したり、口から火を吐いたりするなど、本当かどうかわからない噂がたくさんあります。
奈良県に伝わる話によると、ある柳の大木に夜な夜な青い火が見える為に地元住民が恐れていたそうで、「雨が降っていれば火は燃えない」ということで雨の降る夜にひとりの男が大木に近づいたところ、あろうことか木全体が青く光り始め、それを見た男は恐怖で気を失ったそうです。
これが青鷺火の仕業とされているのですが、もしそうだとしたら一体何匹の青鷺火が止まっていたのでしょうかね。
大木を覆い尽くすほどのサギが止まっているというのもそれはそれで恐ろしいですが。
ちなみに、その名前からサギ科の鳥である青鷺(アオサギ)の妖怪だと思われがちですが、その正体は同じサギ科の仲間の五位鷺(ゴイサギ)であると言われています。
青鷺火の絵と実物のアオサギとを見比べてみればわかりますが、全く似ていません。
というか、どうみてもゴイサギです、本当にありがとうございました。
実はこの妖怪を「青鷺火」という名前で初めて紹介したのは、その手の人の間では有名な江戸時代後期に活動していた妖怪画家、鳥山石燕(とりやませきえん)。
つまり青鷺火という名前は彼が名づけたものなのですが、彼が描いた青鷺火の絵は何故かゴイサギという見事な矛盾。
アオサギって名前つけてるんだからアオサギを描けばいいのに・・・
この真相は今になっては知る由もありません。
青鷺火のように、夜中に青白い光を放つ鳥の目撃例は全国各地にあります。
鳥の種類もアオサギ、ゴイサギにとどまらず、カモやキジ、ヤマドリ等、様々な鳥が謎の発光現象を引き起こしています。
ここまで幅広い目撃例があると、これが単なる見間違いであるとは少々考えづらいわけですが、実はこの発光現象、既に科学的に解明されています。
ですが、ここでその内容を説明するようなことは致しません。
だって夢を壊したくないですし。
ホタルと一緒だなんて私は信じません。